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ラブ・ストーリー「リリーのすべて」※R15 感想 愛する夫が女性になってしまったら?

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リリーのすべて : フォトギャラリー 画像 - 映画.com

 あらすじ

 1926年、デンマーク。風景画家のアイナー・ベルナーは、肖像画家の妻ゲルダに頼まれて女性モデルの代役を務めたことをきっかけに、自身の内側に潜む女性の存在を意識する。それ以来「リリー」という名の女性として過ごす時間が増えていくアイナーは、心と身体が一致しない現実に葛藤する。ゲルダも当初はそんな夫の様子に戸惑うが、次第にリリーに対する理解を深めていく。

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 切なすぎる本物の愛

原作は「世界で初めて女性に変身した男と、その妻の愛の物語」(デヴィッド・エバーショフ著)という小説。世界で初めて性的適合手術を受けたリリー・エルベを題材に脚色された物語である。

現実離れした設定ながらノンフィクションぽさを感じるのはモデルがいるからなのかな。

 

主人公のアイナー(リリー)を演じるのはエディ・レッドメイン。私の中ではレ・ミゼラブルでの印象が強い。これがまた中性的なイケメンなものだからリリーになってからも美しい。
序盤はいくら美形とは言っても体つきが男で、これを口説く男本当かい!と思ったが物語が進むにつれ、いつの間にか見とれるほど綺麗な女性になっているから驚きだ。
しかし妻が夫を誘い、脱がせたら、私のナイトドレス着てました!!…って萎えないかね。まじかよ、こいつって(笑)
綺麗と言えば、映画の中の街並み、家具、リリーの衣装がとても美しい。現実だけど、ファンタジーの世界にいるような。

エディ・レッドメインと映像を見ているだけでも、この映画を観る価値があると思う。

 

物語が中盤に入ると、どんどん重たい話になっていく。
日々を殆どリリーとして生活するようになった主人公。ゲルダ(妻)のことを愛しているけど、君の望むものは与えられないって。なんとも酷い発言。
私は女性なのでゲルダに自分を重ねあわせてしまうが、とても苦しい。

目の前にいるのは確かに愛している人だけれども別人であり、あの時のように愛はくれない。

ゲルダのような状況でなくとも、失恋をしたことのある人ならなんとなく共感できるのではないだろうか。
ドイツへ性的適合手術を受けに行くアイナーを見送るシーンは一番ジーンときた。
そして手術後も献身的に見守るゲルダをみてこれが本物の愛だと。

性別を越えて、一人の人間として愛しているんだなと感じた。

 

ラストには「私なんかにはもったいな人」と言いながら幸せそうに息を引き取るリリーだがこれではゲルダが報われなさすぎる。ヘンリクと結ばれて欲しいとも思うが、そうはならないんだなあ…

 

ゲルダの心情よりの感想になったが、この映画でLGBT(性的少数者)について今一度考える機会になったと思う。自分らしく生きるとはどういうことなのか。そして愛する人の全てを受け止められる人になりたいし、そう思える人に出会いたいと思った。